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■「貿易手続簡易化」とは
「貿易手続簡易化」について、国連においては次のような定義を下している。
すなわち、「貿易手続簡易化とは、貿易のための手続と書類作成処理の組織的合理化をいう。ここに、貿易手続とは、貿易における貨物の移動のために必要とされる、データの収集・提示・通信および処理にかかわる諸活動・慣習ならびに公的手続をいう。」
財団法人日本貿易関係手続簡易化協会 (JASTPRO)は、これを更に具体的に、「手続そのものの簡易化」および「手続遂行事務の合理化・簡素化、すなわち、書類の合理化(統一・標準化)、ペーパーレス化を目指した電子データ交換(EDI)の標準化(EDIFACT)と事務の機械化(ADP)」と考え、簡易化作業を進めて来た。
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■海外における動き
第二次大戦後間もなく,北欧諸国で貿易手続の簡易化,貿易書式の標準化の運動が起り,1956年(昭31年)には先ず,スウェーデンにおいて,税関が中心となり,簡素化した標準フォームを完成し,次いでデンマーク,フィンランドおよびノルウェーもこれにならって同一フォームを採用した。これは激増する貿易貨物と物流の迅速化に対処するために,税関としては民間輸出入業者から持ち込まれる各種書類を統一・標準化して,税関事務の簡素化を図ることが動機であった。しかしながら,この標準化は税関のみならず,他の官庁や民間各種業者にも有益なものとして,国連の欧州経済委員会(以下「UN/ECE」という。)が採り上げるところとなり,1960年(昭35年)には貿易手続簡易化作業部会(以下「WP.4」という。)を設置して,その作業を開始した。
その結果,1963年(昭38年)に至り,すべての貿易関係各種書式は原則としてISOのA4サイズを縦型に使用すべきであるとし,各種貿易書式の設計基準としてのUN/ECEレイアウトキー(これが世界的に普及したため,1978年(昭53年)UNレイアウトキーと改称)を作成して,関係各方面に勧告を出すに至った。欧州各国ならびに,この作業にも参画した米国はそれぞれに国内の対応機関を設立し,UNレイアウトキーに基づく,各種書類の標準化作業を開始して貿易書類の作成・処理の簡素化を図るようになった。
UN/ECE/WP.4は,第1専門家会議(データエレメントと自動データ交換に関する専門家会議)において,1987年(昭62年)3月貿易データ交換ルールとしてEDIFACT(行政,商業および運輸のための電子データ交換規則)の採用を決め,EDIFACTは,1987年(昭62年)9月のISO/TC154会議において国際規格として採択され,ISO9735が誕生した。
また,1987年(昭62年)3月にはEDIFACTの標準メッセージの開発等のため,北米,西欧,東欧の三地域よりのラポーターが任命された。更に,1990年(平2年)3月にはオーストラリア/ニュージーランドから,同年9月には日本/シンガポール地域(1991年(平3年)9月からアジア地域に拡大)から,そして1993年(平5年)3月にはアフリカからそれぞれラポーターが派遣され,EDIFACT開発のための合同ラポーター会議を年2回開催する等活発な活動が行われた。
UN/ECEでは,UN/EDIFACTの貿易手続簡易化以外の分野における幅広い活用とグローバルレベルでの更なる発展に向け1997年(平9年)3月,WP.4を改組してUN/CEFACT(行政・商業・運輸のための手続と実務簡易化センター)を設立し,第1回会議を開催した。その後1998年(平10年)9月のUN/CEFACT会議までを移行期間として,各専門家グループ会議から新作業グループへの移行作業が進められた。1999年(平11年)3月にはWP.4からUN/CEFACTへの移行期間(18ヶ月)経過後の最初の会議が開催された。移行作業完了後のUN/CEFACT総会は年1回の開催となった。(尚,1998年3月会期において,UN/CEFACTの略称はそのままとして,名称を「貿易簡素化と電子ビジネスのための国連センター」に改称した。)
また,ラポーターの支援組織として,1990年8月にアジアEDIFACTボードが組織されたが,当初の日本,シンガポールに加え,韓国,中国,台湾,マレーシア,インド,タイ,フィリピン,スリランカ,イランおよびインドネシアが加盟し,ラポーター活動およびEDI導入のための啓蒙普及活動が活発に行われてきた。しかし,WP.4からUN/CEFACTへの改組に伴いアジアEDIFACTボードでも,1998年(平10年)7月の第16回会議(於テヘラン)の議論点をふまえ,今迄の活動の焦点を@域内共通課題についての意見交換とA域内におけるEDI/ECの啓蒙普及に当てることとし,発展的にAFACT(行政・商業・運輸のための手続と実務簡易化アジア協議会)に改組することとなった。また新組織には常設議長,事務局を置かず,会議開催国が提供することとなった。
この決議に従い,AFACTマネージメントチームが結成され,一年間に亘る準備の結果,1999年(平11年)9月の韓国ソウルにおける第17回会議で正式名称をAFACT(行政・商業・運輸のための手続と実務簡易化アジア太平洋協議会)とし,また,守備範囲を太平洋諸国にまで拡大し,アジア太平洋地域とすること,およびその規約が採択された。また,同時にオブザーバ参加としていたオーストラリアが正式メンバーとして承認された。2000年(平12年)9月にはパキスタン,2001年(平13年)10月にはベトナム,2002年(平14年)10月にはモンゴル,そして2004年(平16年)9月にはカンボジアの加盟が承認されたため,現在のメンバー数は16ヶ国,1経済地域となっている。AFACTの名称もUN/CEFACTの名称変更(1999年3月)に伴い「貿易簡素化と電子ビジネスのためのアジア太平洋協議会」と変更された。準メンバーとしては,ebXMLアジア委員会(2002年9月加盟)とPAA(Pan Asia e-Commerce Alliance:2004年9月加盟)の2団体がある。
さらに1999年(平11年)9月の台北における第18回会議において2年間に亘る経過を踏まえて常設事務局の必要性が提案された。検討の結果,2001年(平13年)10月のジャカルタ会議でAFACT運営委員会による提案が承認され,「台北EDIFACT委員会(TEC)」が任期を4年間と定め,その役割を引受けることとなった。
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■ebXMLの動き
UN/EDIFACTは,貿易手続きのみならず,ビジネス全般に亘って現在幅広く使用されている電子データ交換(EDI)のための汎用的国際標準であるが,ITの専門家等リソースの乏しいSMEs(中小企業)にとっては,導入が難しいとの声があった。これに応えるためUN/CEFACTではSimpl−edi(シンプルedi)というグループを結成して,この実現に向けて検討を開始した(1997年頃)。
このUN/CEFACTの動きと軌を一にして,世の中では「インターネット」が急激な勢いで普及し始めつつあった。接続の容易性,通信料金の安さ,そしてブラウザー(ネットスケープやマイクロソフトのインターネット・エクスプローラのようなもの)を使用して,いとも簡単に不特定多数間でメッセージのやりとりができるという簡易性が受けて,その利用者数はうなぎ昇りに伸びていった。
UN/CEFACTでは,インターネットがEDIに利用できることに着目して1999年(平11年)9月キャンベラEWG会議において,OASISと共同して,「ebXMLイニシアチブ」という短期のプロジェクトを立ち上げる旨声明を発表した。18ヶ月間に亘るebXMLイニシアチブによる作業の結果,インターネットによるEDI(XML/EDI)のための基本的枠組みのための仕様が承認されて,2001年(平13年)5月にebXMLイニシアチブは解散した。
ポストebXMLイニシアチブについては,UN/CEFACTがビジネスプロセスやコアコンポーネントのXML/EDIのコンテンツ部分を担当し,OASISはメッセージング,レジストリ・レポジトリ,コラボレーションプロトコルプロファイルと協定書,安全性及びコンフォーマンス等のインフラ部分を担当することとなり,役割りを分担して限られたリソースを有効に使って開発を継続していくこととなり,現在に至っている。
インフラ部分の開発はほぼ完了し,すでに技術的仕様が公開されている。UN/CEFACTが担当するコンテンツ部分の開発は,従来型EDI標準のUN/CEFACTとの相互運用性(interoperability)並びに今まで開発してきた各種資産の再利用性(reusability)を確保する必要があるためOASIS側に比べると遅れ気味であるが2004年(平16年)5月のUN/CEFACT総会でCCTS v2.01(コア構成要素技術仕様)がISO/TC154にファーストトラックで提出することが承認された。
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■国内における動き
1960年代に入り,戦後の復興が一段落すると共に,いよいよ我が国経済が飛躍する時期に至り,貿易量の増大も著しいものがあった。そのような現実の動きにかかわらず,貿易関係諸手続は依然として旧来のまま踏襲されている一方,関係官庁・業界とも事務の増大に対処するため,それぞれ,様々な工夫を行った。人員を増やすことがまず第一ではあったが,これはおのずから限度があることであり,やはり事務の合理化・簡素化が考えられなければならないことであった。しかしながら,この時期における合理化・簡素化の努力は,まだ散発的・個別的なものであった。これが組織的に行われるきっかけになったのは,1967年(昭42年)のコンテナ船によるユニット輸送の開始である。高速コンテナ船の投入,荷役の自動化に伴う通関,荷役用書類の早期入手のため,又,ターミナルに集中する書類の錯綜を打開するために,書類の統一・標準化更には自動化が現実のニーズとして浮かびあがって来たのである。
このような内外の情勢に対応し,貿易書類の標準化作業が我が国においても必要なことを認識した貿易関係業界は,大蔵・通産・運輸三省の支援の下に,1971年(昭46年)2月,「貿易関係書式標準化委員会」を設置して作業を開始した。
その後,1974年(昭49年)に至り,国際的簡易化運動の急速な発展と,国内における貿易業務の合理化への強い要請に鑑み,この委員会を発展的に解散して,同年12月,財団法人「日本貿易関係手続簡易化協会」(JASTPRO)を設立した。
当初は,貿易書類の様式の統一・標準化や手続の簡素化を中心に調査研究および普及活動を進めてきたが近年は,書式の標準化関連が一段落したため,主として貿易制度・手続そのものの簡易化や貿易手続のADP(Automatic Data Processing:自動データ処理)化について検討が進められている。
貿易手続のADP化に関連して,UN/EDIFACTの開発・普及のため,1988年(昭63年)5月には,この作業に従事するラポーターの一行が来日したが,その際国際フォーラム等を通じ,官民の各分野の方々と交流し,情報,意見の交換を行った。1990年(平2年)9月には,当協会の伊東理事がUN/ECE/WP.4において正式にラポーターに任命されたが,それに先立ち7月にはその日本側支援組織EDIFACT日本委員会(JEC)が,8月には地域の支援組織日本/シンガポールEDIFACTボード(JS/EB)が設立され,EDIFACTの域内普及活動が開始された。(1991年(平3年)4月には韓国が参加,9月には中国と台湾が同時参加し,アジアEDIFACTボードとすることが承認された。)1991年(平3年)2月には,アジア地域の関係各国等(韓国,シンガポール,タイ,台湾,香港)の要人とUN/ECE事務局のEDI専門家に各地域ラポーター(北米,西欧,オーストラリア/ニュージーランド)を招へいしてEDIFACT普及推進会議を開催し,更には12月に国連のEDIFACT開発・推進の専門家4人を招へいしてEDIFACT普及・推進フォーラムを開催して我が国におけるEDIFACTの開発・啓蒙・普及に努めた。
EDIFACT日本委員会においても,WG(作業グループ)を組織してボード加盟各国のWGと連携をとりながら活発な活動を続けている。
ちなみに,1994年(平6年)においては,9月5日,6日の両日にアジア各国のTAG(技術評価作業グループ)委員を招請して共同のTAG会議を開催するとともにUN/EDIFACTセミナーを開催してUN/EDIFACTの啓蒙と普及に努めた。1995年(平7年)には,11月にEDIセミナーを,1996年(平8年)には,1月にアジア各国TAGグループとの合同TAG会議を開催し,8月には神戸で夏期経済セミナーを開催し,パネラーとしてパネルディスカッションにラポーターが参加した。1997年(平9年)には,2月に貿易手続簡素化セミナーを開催し,10月にEDIセミナーを開催した。1998年(平10年)には,3月に貿易手続簡易化セミナーを開催し,また,10月にEDIセミナーを開催する外,EDIFACTガイドブックや関連規則の日本語版(改訂版)を出版した。1999年(平11年)以降は,以前からのEDIセミナーを毎年10月に開催する等してUN/EDIFACTの啓蒙普及に努めると共に,11月よりUN/CEFACTとOASISが共同で開始したXML/EDIのための標準化活動のebXMLイニシアチブ及びその後の関連活動にも積極的に取組んでいる。
インターネットの急速な普及に伴い貿易手続きを始めとする各種ビジネス行為の局面においてもインターネットを経由したXML/EDIの動きが急であるが,JASTPROにおいても,この動きに対応すべく取り組んでいる。
JASTPROの国際貿易におけるEDI化調査特別委員会においては,ebXMLイニシアチブ後の継続した動きとしてUN/CEFACTの法律問題グループの動きと同期をとりRosettaNetのTPA(Trading Partner Agreement),ODR(オンライン裁判外紛争処理),電子署名のクロスボーダ認証の問題,並びにコラボレーションプロトコル・プロファイルと協定書(CPP−A)の調査研究に取り組んでいる。また,この委員会の成果を各関係先に広く啓発するため毎年EDIセミナーを開催している。
他方,2002年(平14年)に,貿易手続き面へのXML/EDIの導入検討のためJASTPROに「貿易手続へのXML/EDI導入調査研究特別委員会」を設け,現在すでにEDI化が行われている通関情報処理システム(NACCS)を初めとした全てのB2G(企業/政府間)手続きシステムの調査研究を行い,そこで使用されているデータ項目の調和化,標準化作業を机上で行った。この作業は現在政府主導で進められている各種B2Gシステムの「シングルウィンドウシステム」化への足掛りともなると期待される。
更に,このグループの成果の一つである「あるべきシングルウィンドウ化に向けての提言」は,2004年(平16年)3月9日開催の自由民主党e-Japan重点計画特命委員会(額賀委員長)「輸出入・港湾手続のワンストップ化」についてのJASTPRO意見のベースとなったものであり,わが国の輸出入・港湾手続のシングルウィンドウシステムが,これらの意見を踏まえて,理想型に近づくよう期待されるところである。
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