日本貿易関係手続簡易化協会(略称:ジャストプロ 英文略称:JASTPRO)のウェブサイト

原産地関係エッセイ・論文・講演資料

第三十話EU特恵原産地制度における証明及び確認実務に関する調査

JASTPROにおいては、「EU特恵原産地制度における証明及び確認実務に関する調査」と題する約120頁ほどの小冊子を作成し、先月、JASTPRO賛助会員宛に送付したところであります。この小冊子は、昨年11月に実施した欧州でのヒヤリング調査結果に加え、3月末日までに入手可能な日EU・EPA原産地規則に関する公開資料の翻訳を一括して編集したものです。賛助会員以外の方々に対しては、その主要部分について情報共有いたすべく、本年2月に開催されたJASTPROと駐日欧州連合(EU)代表部との共催セミナーにおいて、「欧州連合における特恵原産地証明実務」として報告させていただいております。
本小冊子の目次を紹介いたしますと、以下のとおりです。

I.調査概要
II.サプライヤー宣誓制度
III.日EU・EPA原産地手続き
IV.インタビュー結果
V.まとめ
VI.参考資料(英文)

II. 「サプライヤー宣誓制度」においては、本年2月のセミナーで使用したパワーポイント資料の原資料である「EUガイドライン サプライヤー宣誓に係る諸規定のEUにおける適用について」の全訳を掲載しております。

III. 「日EU・EPA原産地手続き」においては、本年3月までに欧州委員会がウェブサイトに掲載した日EU・EPA原産地規則に関する情報をまとめて掲載しております。その内訳は、日EU・EPAガイダンス(1月9日公開。①「輸入者の知識」、②「特恵の要求、確認及び否認」、③「同一の産品の2回以上の輸送のための原産地に関する申告」及び④「秘密情報の取扱い」)のガイダンス部分の全訳と、⑤3月14日に公開された告知文「輸入申告時に日本国税関に提出する貨物の原産地にかかる説明」の全訳を含みます。最後の告知文は、同日付で日本国税関ウェブサイトに掲載された内容の英訳をそのまま転載した上で、EUの輸出入事業者に向けた欧州委員会としての見解を付け加えています。

IV. 「インタビュー結果」においては、昨年11月に実施したEU企業の経営者、原産地実務担当者等からのヒヤリング結果を掲載しています。 このように、本小冊子は、現在までに公開されている日EU・EPA原産地手続きに関連するEU側実施細則・ガイダンスを網羅したものとなっておりますので、EUとの特恵貿易に関与されておられる方々の執務のご参考になれば幸いです。なお、賛助会員企業の方で本小冊子を複数ご希望される場合、JASTPRO事務局(03-3555-6063)まで申し出ていただければ、パスワードをメールで送付いたしますので各事業所においてダウンロードが可能です。

さて、日EU・EPAが本年2月1日に発効してから3ヵ月が過ぎ、その活発な利用状況が頻繁に報道されております。3ヵ月も経ちますと、そろそろEUからランダムチェックによる確認手続きが本格的に開始され、我が国の輸出者に日本国税関経由で照会が届く頃かもしれません。TPP方式とは異なり、税関当局間でのやり取りが前面に出るとはいえ、EPA輸出された産品の原産性を証明する情報の管理体制の構築が必要になります。しかしながら、輸出入を同時に行っておられる事業者の方であれば、輸入時に準備される原産品申告書及び明細書の作成・管理のノウハウがそのままEUへの輸出に際して応用できます。輸入の場合とは異なり、輸出の場合は産品の原産性を証明するデータがほぼすべて国内にある訳ですから、原産品申告書を作成する要領で輸出関連データを整理・蓄積していけば、EU税関からの確認など、何ら恐れることはありません。

むしろ、EUから輸入されている事業者の方々こそ、日本国税関からEU税関への確認要請に対して、取引相手であるEU輸出者が必要な情報を直ちに提供してくれるのか不安になっておられるかもしれません。特に、EUは28ヵ国からなる関税同盟であることから、我が国がこれまでEPAを締結してきた国々とは異なる複雑さを内包しています。まず、部品・原材料の域内調達には他のEU加盟国からの移送であっても国境措置はありませんが、言葉も文化も習慣も異なる地域からの移送となると、原産資格を証明する上で頼りになるのは供給者が発出する「サプライヤー宣誓」ということになります。

EUの税関当局が日EU・EPAに基づく確認事務を他の特恵制度と同様に取り扱うことを前提として申し上げれば、日本国税関当局から確認の要請を受けた輸出地のEU税関は、EUの輸出者(原産地に関する申告の作成者)に対して「情報証明書INF4」を入手するように要請することがあります。この情報証明書INF4は、輸出者が作成した原産地に関する申告のベースとなったサプライヤー宣誓の真正性、正確さを確認するために使用されます。

情報証明書INF4の提出を輸出者に対して求める輸出地のEU税関官署は、120日以内に輸出者から本証明書を入手することになっています。輸出者が産品の生産に使用した材料の素性は、サプライヤー宣誓によって示される訳ですが、そのすべてが信頼できるものではないかもしれません。その場合は、当該材料が生産されたEU加盟国において、当該サプライヤーが発出した宣誓の適否が検証されることになります。このような生産工程の上流への検証が何段階も遡及して行われるならば、120日以内に最終産品の原産性の全貌を把握することは困難になることが予想されます。このような場合には、120日の期限が延長されることがあります。このような手続きを経て回答が用意されるとすれば、あまり迅速な回答は期待しない方がよいかもしれません。おそらくは、協定上の回答期限ギリギリになって回答されることになるのかもしれません。どの程度の確認件数があるのか、どの程度の上流工程への遡及調査が求められるのか、いわゆる「相場感」が確立するまで今後の実務の積み重ねが必要になります。

2019年5月9日 掲載
文中、意見に及ぶところは筆者の個人的な意見であり、JASTPRO又は関係諸機関の見解ではないことを予めお断りしておきます。

このページの先頭へ

注意)
日本輸出入者標準コードに関するお問合せは、ページ上部のメニューにある「コード関係お問合せ」をクリックして下さい。

一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会
〒104-0032 東京都中央区八丁堀 2-29-11 八重洲第五長岡ビル4階
コード管理センター TEL.(03)3555-6034 / FAX.(03)3555-6036
代表(庶務室) TEL.(03)3555-6031 / FAX.(03)3555-6032
Copyright©2004 JASTPRO All Rights Reserved.