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連載 第二話- UNCTADとGSP -

国連総会決議により1964年に発足し、450名の職員を擁するUNCTADは、所謂南北問題を総合的に検討するための会議体です。その活動は、貿易、投資、援助、海運、技術移転といった国際経済の広範な分野に及んでいますが、大きな成果の一つに一般特恵制度(GSP)の導入をあげることができます。GSPは南北経済格差解消の一手段として先進国が途上国産品に関税上優遇する制度で、1970年に合意されました。

余談ですが、米国は、UNCTADの活動・手法が極めて政治的で、建設的な役割を果たしていないとして廃止を求めました。しかし、国連総会決議で設立されましたので、その廃止も別個の国連総会決議が必要です。国連加盟国に占める途上国の数から言って、廃止は現実問題として不可能です。先進国ができることは、国連本部からUNCTADへの予算配分を細めることであり、実際、そのようにしました。この関係で、職員数は100名以上減ったといわれています。この米国ですら評価した、UNCTADの活動分野が二点ありました。それは、海外投資統計と非関税措置(Non-tariff measures:NTM)のデータベースでした。尤も、前者については、国連の機構改革でNY本部から優秀な職員がUNCTADに転勤して来たからでしたが。

関税優遇策によって南北格差を減少させていくアイデアはUNCTAD設立以前からありましたが、最恵国待遇(MFN)原則を標榜するGATTが、地域特恵を始めとする経済のブロック化により第二次大戦を引き起こした苦い経験に鑑み、GATT精神の確立途上においてMFN原則に穴をあける制度を認めることは極めて困難でした。GATT上におけるGSPの認知は、79年の東京ラウンド終結時、所謂フレームワーク協定において授権条項(Enabling Clause)が合意されるまで、GATT成立から優に30年以上経過してからのことでした。

GSPは、途上国の輸出所得の増大、工業化の促進、経済成長の増加をその目的としました。GSP導入当初は、MFN税率とGSP税率の差(特恵マージンと呼ぶ)が結構あってうまみのある制度でしたが、累次のGATTラウンドにおいてMFN税率が引き下げられ、また、FTAやEPAと呼ばれる多くの自由貿易協定の実施に伴い、GSPの意義は薄れていきました。GSPは当時25の国により16の異なった制度(スキームと呼ぶ)で実施されていました。つまり、16の異なったGSPスキームとともに、16の異なった原産地規則(ROO)が存在していたということです。現在、FTA数は約300とも言われていますが、異なったROOの萌芽はGSPに見られたのです。なぜこのようになったのかは、UNCTADにおける合意にまで遡ります。GSPの導入は合意されましたが、実施は国内法で手当てするとされたことに起因します。

このため、UNCTADはUNDP(国連開発計画)の資金を得て、各特恵供与国のスキームやROOを解説したハンドブックを作成し、セミナー等を開催してGSP利用促進に努めました。1980年以降はUNCTADが加盟国からの任意拠出金によりこの活動を継続させました。

2016年11月30日 掲載
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