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原産地関係エッセイ・論文・講演資料

連載 第八話−GSP・ROOの主たる要素(その1)−

前回は少し脱線気味でしたが、今回以降、GSP・ROOの骨格について触れます。主要な要素としては、(i)原産地基準(Origin Criteria)、(ii)直接運送要件(Direct Consignment Rule)、(iii)特恵原産地証明書(GSP Certificate of Origin Form A)、(iv)罰則(Sanctions)、(v)税関間協力(Mutual Cooperation among Customs Authorities)及び(vi)追加の便益(Additional Facilities)、が挙げられます。核をなすものは勿論原産地基準ですが、特定の供与国が与えている追加の便益(所謂、自国関与とグループ・オリジン−累積原産地ルール)もROOのサブスタンスとして重要です。

これらの要素については、第三回UNCTAD特恵原産地作業部会(1970.12.7-15)で纏められた合意事項(Agreed Conclusions)において以下のように表現されています。筆者の推測では、これは多分にCCCの場で交渉されていた京都規約原産地付属書(案)の影響が及んでいるものと考えられます。

  • @ 特恵原産地規則はGSPの三目的(輸出所得の増大、工業化の促進、経済成長の加速)の達成を容易なものとすること
  • A ある受益国における完全生産品又は実質的な変更を伴う工程によって生産された産品はその受益国の原産地と認めること
  • B 実質的な変更決定のため、既存ルールの付加価値基準と加工工程基準は共に適用しうること
  • C 受益国における製造に使用された輸入原材料、部品の価格がFOB価格の40%を超えないときは、実質的な変更があったと見なすこと
  • D 実質的な変更があったと見なせるときは、輸入原材料のBTN(Brussels Tariff Nomenclature、CCCNの前身の関税分類品目表)番号と製造された産品のBTN番号が異なったときも、同様に、原産地を与えること
  • E 一つの基準で特恵輸入が認められる産品は、他の基準でも認められること
  • F 全ての受益国は、原産地規則の適用上、一グループとして扱われること
  • G 供与国は自国関与分を特恵要素としてカウントすること。但し、垂直貿易を形成しないこと
  • H 供与・受益国双方の税関当局は、必要があればCCCの協力を得て、原産地ルールの運用について協力し、協議すること
  • I 特恵供与予定国は、この合意を最大限尊重して、自国のGSPスキームを実施するため所要のルールを国内法で手当てすること(なお、原産地証明書のサイズ、様式、記載事項等がこの合意事項の別添として添付されている)

日本はこの合意を受け、関税暫定措置法第8条の2以下の国内法を制定し、実施期間を10年間として1971年からGSPを履行した(以後、実施期間は延長されてきている)。参考までに、特恵原産地については、この措置法の条文に「原産地」なる語が出てきますが、非特恵原産地については、法律上には出てきません(政令である関税法施行令第4条の2で初めて「原産地」が現れる)。なお、特恵対象品目に適用される個別の具体的な原産地認定基準は、同法施行規則の別表に規定されています。
以下は、主要なGSP・ROOの解説・補足です。

1.原産地基準(Origin Criteria)

日本はEUと同様、加工工程基準方式を採用しています(アングロサクソン国である米国は原則35%の付加価値基準方式)。なお、つぶさに見ると、EUと日本との間でROOの運用に差異が見られますが、これらについては後日詳述します。日本は、一部の品目について関税番号の変更によっても原産地を付与しています。実際、この方式の実施に当たっては、結構、色々なリストを用意することが必要となります。

  • @ 完全生産品のリスト(一の受益国で採掘された鉱物、成育した生きた動物などが関税暫定措置法施行規則第8条に指定されています、このリストは全特恵供与国共通です)
  • A 原産品としての資格を与えるための条件を記載したリスト(このリストには実質的変更基準をクリアーするための加工条件が詳しく設定されており、前述の通り同規則別表に記載されています。このリストは統合リストと言うべきものであって、関税番号変更基準が適用されるもの、特定の加工工程条件が適用されるもの及び比率基準が適用されるものを一つの表に纏めたものです。同じ方式を採用しているEUにも同様の表があります)
  • B 些細な加工であるため原産品としての資格を受けられない加工の程度を例示したリスト(選別、改装、瓶への詰替、ラベルの表示、混合、単なる組立などの些細な加工は実質変更とは認められないため除外する必要があり、供与国によってはリストを作成しています。日本の場合は施行規則第9条の但し書きに規定されています)

2.直接運送要件(Direct Consignment Rule)

日本語では直接運送となりますが、英語ではdirect shipmentとは言っていません。例えば、東南アジア諸国から日本に輸出する場合、往々にして中継港として機能しているシンガポールで積み替えが発生します。また、内陸国から積み出す場合、direct shipmentとすることは困難でしょう。つまり、direct shipmentであれば何ら問題はありませんが、運送上の理由により第三国を経由する場合、船積み書類上で日本の荷受人(Consignee)であれば足りるという意味です。この要件は、施行令第31条(特恵対象物品の本邦への運送)に規定されています。

3.特恵原産地証明書(GSP Certificate of Origin Form A)

UNCTADという政治的な場でOECD諸国と多くの途上国との間で険しい雰囲気のなかでようやく合意に漕ぎつけたGSPですが、やはり少しは供与予定国の中に不信の芽があったようで、MFNが適用される取引には要求されないような内容が特恵原産地証明書様式にみられます。曰く、証明書はA-4サイズで一定の重量を有しかつ偽造防止のため「彩紋」(green machine-turned background)を有すること、と。なお、豪とNZは当初から関係者の自己申告・証明で足りるという取り扱いでした。GSP合意から40年以上が経過して、日豪EPAの枠内において認められた自己申告制度の萌芽を垣間見ることができます。原産地の証明に係る事項については、施行令第27条から第30条まで並びに施行規則第10条に規定されています(蛇足ではありますが、この規則に基づく別紙様式第一にはForm Aが掲載されており、要件の一つとして「・・・証券印刷の方法により緑色の彩紋を施したものとする。」と備考欄に記載されています)。

2017年3月1日 掲載
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