日本貿易関係手続簡易化協会(略称:ジャストプロ 英文略称:JASTPRO)のウェブサイト

原産地関係エッセイ・論文・講演資料

連載 第五十話-ADB編への序曲(2)-

【筆者のマニラ滞在の実情】(続き)

毎月の支払項目は、光熱費等(電気、電話とインターネットの抱き合わせ契約、日本語ではNHKしか視聴できませんが衛星放送、水道)が主なものです。すべて、ショッピングモールにある各種の公共料金の支払いができるカウンターでその都度支払っています。高級なコンドミニアムになりますと、これらの費用は管理者が立て替え払いをしてくれますので、入居者は月一回の管理者への支払いで済みます。不定期な支払項目として、自家用車を保有しています(現地生産のIsuzu SUV車、日本ではIsuzuは経営戦略上トラック製造に特化してしまい、乗用車やこのタイプの車は生産されていません。)ので、車の任意保険、(日本と違い)毎年の車検代、ディーゼル(軽油)代(リッター90円位でしょうか)、家賃(年に一回)となっています。

食料品の買い出しは主なところで三か所を利用しています。一つ目は、ADBのすぐ隣にあるMaga Mallと呼ばれる大きなショッピングセンター(端から端までの長さが500m以上あるという人がいます。)で、中にスーパーマーケットが二か所あります。ADBは、退職者用のIDを発行しており、これをゲートで提示しますと、ADB職員用の駐車場に止めることが出来ますので、買い出しの際に利用しています。二つ目は、最近、住んでいるコンドミニアムのすぐ隣にオープンした高級スーパーマーケットで、ここでは徒歩で買い物ができます(なお、都市であれば、近くには必ずコンビニがあります。筆者の住んでいるコンドミニアムの中にも一軒あります。)。フィリピンでは消費税が12%と日本の8%の五割り増しです。ところが生鮮食料品は非課税となっています。例えば、大豆は非課税ですが、大豆製品の一つである豆腐は12%が課税されます。加工されていない精肉、生鮮の野菜、果物類もすべて非課税です。余計なことですが、フィリピンで非課税が可能なことが、どうして日本で生鮮食料品に非課税を適用できないのか不思議です。調味料の類は日本に行った際、買い出しをしていますので、非課税制度をフルに活用し、生鮮のものを購入し自分の好きなように味付けして頂くのが賢いやり方だと思っています。蛇足ながら、JALでもANAでもエコノミークラスでさえ一個の重量50ポンド(約23キロ)まではスーツケース2個まで無料で運ぶことができます(従って、全部で46キロ、プラス機内持ち込み分)。日本へ帰国した際、結構な量の買い出しが可能です。

現役時代に住んでいたMakati市内のコンドミニアムの真ん前が小公園になっており、ここでは現役時代と同じように今でも毎土曜日に市が立っています。これが三つ目の生鮮野菜、果物、鶏卵、魚介類などの食材購入先ですが、現在はこの土曜市に朝5時に起きて買いに行っています。例えば、1キロ程度のマグロのお腹を切った部分が800円位で買うことが出来ます。上手ではありませんが捌いて冷凍して(寄生虫がいても冷凍すれば死ぬらしいのです。)ヅケ丼にして食べています。熱帯の海で育っているのでお腹の部分でも脂はのっていませんが、結構いけます。養殖のブラック・タイガーも新鮮なものがあり、チリソースなどで食しています。アスパラガスやセロリの他、新鮮なマンゴー、パパイヤ、パイナップル、バナナ、メロン、アボカドを買って、日本から持ち込んだミキサーで砕いてスムージーのようにして飲んでいます。

公共的な交通手段は日本に比べて限られていますので、自家用車はないよりはあった方が便利です。ただ、当地の荒い運転に適応する必要があること(又は運転手を雇用する必要があること。)、最近とみに二輪車が増えてきていて無茶な運転が目立つことや維持費の面でも慎重な検討を要します。職業運転者のうち、家庭に雇われているドライバーは、事故を起こすと失職しますので慎重な運転です。他方、タクシードライバー、乗り合いのジープ(ジープニーと呼びます。)やバスのドライバーは注意が必要です。メインテナンスを怠っている車両、タイヤがすり減っている車両も多く見受けます。二輪車は若者が多く乗っていますので、運転の経験不足によるものと思われる事故の直後の状況に接することがままあります。最近は、ウィークデーは渋滞が激しく近辺以外は殆ど運転はしません。まともに運転できるのは週末くらいです。尤も、ディーゼル車(エンジンは2.5リッター)なので、リッター12キロは走ってくれますから経済的です。

ADB勤務最初の8年はランクル・プラドに乗っており、無茶な運転をしていました。人身事故はありませんが、これまで何回か捕まっています。クリスマスが近づきますとある路地が急に一方通行になり、入っていくと警官がニヤニヤして待っています。仕方ないですね。一昨年から新大統領になって、警官も無茶なことは言わなくなりました。マニラ首都圏ではユニークな渋滞緩和策として(効果の程は別として)、一般車については週に一回運転できない日を決めています(外交官、国際機関職員車には適用はありません。)。これを何故か「Color Coding」と呼び、末尾の登録番号が例えば1と2の車両は月曜朝7時から午後7時まで運転することが出来ません。以後順に、末尾が9と0は金曜が運転制限の日となります。週末や祭日はこの制限がありません。富裕層は数台保有していますから、この制限はあまり関係ないようです。ADBがある地区は常時渋滞しているわけでもないので、制限車両であっても、ラッシュに関係ない時間帯の午前11時から午後3時までは「Window」と称して運転可能でしたが、新大統領がこれを廃止してしまいました。

当地の交通ルールで特異なものの一つに、(米国と同様に)特段の制限がない場合、信号が赤であっても右折は徐行しつつ進行できます(日本のルールに置き換えますと、信号が赤であっても左折は徐行しながら出来る、ということになります。)。融通が利く実際上の慣行に、朝と夕方のラッシュに交通量の差が明らかにある場合、朝はこちらが二車線で反対側が一車線のみ、他方、夕方は反対側の方に交通量が多いため二車線になります。日本では考えられないことです。運転と言えば、最初のマニラ勤務の1980年代初頭は今から思うと隔世の感があります。当時は今のように渋滞がなく、例えば、夜12時を過ぎますと交差点の信号を無視するのが当たり前でした。最初の頃は止まっていたのですが、後ろから警笛を鳴らされ仕方なく動いていたところ、次第に順応し過ぎていきました。逆説的ではありますが、夜の交差点はこのような慣行となっていましたので、皆、信号が青でも注意して減速して通行するわけで滅多に事故など起きませんでした。現在はこのような慣行はありません。

当地に住んでいて自分の生活に直接影響のある法令の変更、行事、デモの予定などを正確に適格に知ることはとても大事なことです。筆者の情報源としては、テレビ(昔の方が英語による放送が多かった記憶がありますが、今は国語のタガログ語が圧倒的に多くなっています。)、ADBなどの友人、インターネット上の情報、例えば、邦字の「マニラ新聞」などです。インターネット上の情報で、有益なものとして、フィリピン各地に住んでいる邦人の発信する「ブログ」があげられます。内容は多岐にわたりますが、ビジネス(中古トラック販売、農業、サトウキビ栽培など)、趣味(蘭栽培、魚釣り、料理など)、退職生活と歳時記、時事政談、フィリピン文化・慣習などなどです。その中でも面白いと思うものをピックアップして最低50件は毎日チェックしています。自分でもブログの開設を考えたのですが、そこは安全面を考えれば止めたほうが無難と言う友人の忠告で断念しました。

日本人にとってフィリピンに住むということは、「一物三価」を体験できるところとも言えます。物知りが言うには、お土産品一つをとっても、高い順から、日本人用価格(Japanese price)、次に日本人を除く外国人価格(foreigner's price)、一番低いのは現地の人への価格(local price)、だそうです。デパートなどでは定価販売ですが、一旦町中に出ますと値段があってないようなものです。例えば、行楽地に行ってお土産を買おうとすると交渉の仕方によって得をすることが多々あります。筆者はワイフが呆れるほどの交渉をします。ところが一般の日本人は交渉に慣れていないし、また、途上国ですから値段がそもそも高価ではありませんので、交渉などすることなく相手の言い値で買ってしまいます。

当地で注意しなければならないことの一つに飲み水があります。水道水が日本の様に飲めないことです。現役時代はADBの売店で外国産のミネラルウォーターを買っていましたが、現在は、ローカルのpurifyした水を飲んでいます。UNCTAD時代特にアフリカなどではミネラルウォーターといっても水道水などの詰め替えが頻繁にあって運が悪ければ肝炎になってしまいます。このため、怪しいと思った場合は、ビールを飲んでいました。外に飲みに行きますと、氷の入ったビールやウィスキーが出されます。これが初めてのフィリピン旅行者にとっては危険です。この氷、水道水から作ったものかもしれませんが、確かめようがありません。また、当地にはハロハロと呼ばれる日本で言う氷小豆の様なスウィートが人気ですが氷が入っています(一説には戦中マニラで売っていた日本の氷小豆が元祖と言う人もいますが、真偽の程はわかりません。なお、ハロハロとは「混ぜ混ぜにする」の意味で、色々なものが入っています。)。筆者のように長くいますと耐性ができる(と思っています)ので、少しぐらいはどうってことはありませんが。ADBの良いところは、日本人が赴任してきた翌日からADBの構内であれば日本と変わらないように生活ができることです。水道水も飲めます。また、電力供給先を二社入れて、片方がダウンしても困らないように手を打っています。

2018年9月28日 掲載
文中、意見に及ぶところは筆者の個人的な意見であり、JASTPRO又は関係諸機関の見解ではないことを予めお断りしておきます。

このページの先頭へ

注意)
日本輸出入者標準コードに関するお問合せは、ページ上部のメニューにある「コード関係お問合せ」をクリックして下さい。

一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会
〒104-0032 東京都中央区八丁堀 2-29-11 八重洲第五長岡ビル4階
コード管理センター TEL.(03)3555-6034 / FAX.(03)3555-6036
代表(庶務室) TEL.(03)3555-6031 / FAX.(03)3555-6032
Copyright©2004 JASTPRO All Rights Reserved.