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八丁堀梁山泊 第54話

越境eコマースに適用されるEU付加価値税(VAT)に関する新規則(2021年7月1日施行)

2021-04-16


 駐日EU代表部のチェルスカ書記官(通商部)から、EUのeコマースに適用される付加価値税(VAT)が改正され、新ルールが7月1日から適用されるとの連絡がありました。関連する欧州委員会のウェブサイトを確認したところ、以下の記事が掲載されていましたので、その概要をお知らせします(JASTPROによる仮訳)。

 出典 (https://ec.europa.eu/taxation_customs/ business/vat/vat-e-commerce_en)

 2021年7月1日から越境Business-to-Consumer (B2C) eコマースに係るVATルールが改正されます。その背景は、越境オンラインセールへの障害を乗り越え、物品の遠隔販売及び低価格商品の輸入に対するVAT制度に潜む困難に対応することにあります。

 主要な変更点は以下のとおりです。

 オンラインでの売り手(オンライン・マーケットプレース/プラットフォームを含む。)はEU加盟国の一つにおいて登録することで、すべての遠隔物品販売及びEU内の顧客に対するサービスの越境提供に係るVATの申告及び支払いに有効となります。ワンストップ・ショップ(OSS)に登録することで、オンラインでの売り手は最大95%の手続コストの削減となります。

 特別規定の導入により、物品の供給を促進するオンライン・マーケットプレース/プラットフォームは、VATの適用において、物品を受領し供給したとみなされます(「みなしサプライヤー」)。

 22ユーロを越えない小額貨物の輸入における VAT免除は、廃止されます。すなわち、EU域内に輸入されるすべての物品に対して、例外なくVATが課されます。

 新制度においては、EU域外から輸入される低価格物品の遠隔販売のための特別スキームが創設されます。それは、輸入ワンストップ・ショップ(IOSS)と呼ばれるもので、VATの申告及び支払いの簡素化のために新設されます。

 EU域内の遠隔物品販売に係る現行閾値は廃止され、新たな閾値としてEU全域を対象とした1万ユーロに改められます。1万ユーロに満たない場合、電気通信放送、電子サービス(TBE:telecommunications, broadcasting and electronic) の提供及びEU域内の物品遠隔販売は現行のEU加盟国のVAT制度の下に置かれ、納税すべき者がそれぞれ決められています。

 さらに、新たな記録の保存義務が物品及びサービスの提供を促進するオンライン・マーケットプレイス/プラットフォーム(みなしサプライヤーでない者も含む。)に対して導入されます。

 最後に、輸入ワンストップ・ショップが利用されない場合(特別措置)、150ユーロを越えない積送に係る輸入物品の遠隔販売の簡易化措置が導入されます。

新制度が適用される取引

サプライヤー及びみなしサプライヤーによって行われるEU域内での物品遠隔販売

みなしサプライヤーによる国内物品販売

EUにおける消費者に対するEU及び非EUセラーによるサービスの提供

サプライヤー及びみなしサプライヤーによって行われるEU域外から輸入された物品の遠隔販売(ただし、内国消費税(excise duties)が課せられる物品を除く。)

広範かつ多様な利点

EUの消費者がEUに域内及び域外からオンラインで物品を購入する場合、適用されるVAT税率は自国で購入する場合の税率と同じであることをあらかじめ知っていることの恩典-新制度はVATが物品の消費地で支払われることを確保します。

EUにおけるビジネスが簡素化され、より公正な環境において発展し、越境オンライン版売に対する障害を乗り越えることができる- 欧州デジタル単一市場は、人々に対する技術的な作業を公正で競争力のあるデジタル経済とすることを目的としています。

EU市民は歳入の増加を現認することになります-VAT支払いの増加及びVATに係る脱税の減少によってすべての加盟国が恩典を被ります。

輸入ワンストップ・ショップ(IOSS)

出典 (https://ec.europa.eu/taxation_customs/business/vat/ioss_en)

 輸入ワンストップ・ショップ(IOSS)は電子ポータルで、事業者は輸入物品の遠隔販売に係るVATのeコマースの義務に従うために2021年7月1日から使用できます。

 2021年7月1日まで適用されるVATルールによると、輸入物品に係るVATは22ユーロを越えない商品については支払う必要がありません。

 新VAT eコマース・ルールでは、本規定は2021年7月1日をもって廃止されます。そのため、2021年7月1日から、EU域外から輸入されるすべての商品はその価額にかかわらずVATが課せられることになります。

輸入ワンストップ・ショップ(IOSS)の目的とは?

 輸入ワンストップ・ショップは、EU域内の購入者に対して輸入物品の販売を行うサプライヤー及び電子インターフェイスが租税当局に対してVATを徴収し、申告し、かつ支払うことを許容するため、購入者が(22ユーロを越える)物品がEUに輸入された段階でVATを支払う必要がなくなります。

輸入ワンストップ・ショップ(IOSS)の利点とは?

 輸入ワンストップ・ショップは、EU域内に輸入物品の遠隔販売を行う販売者のVATの徴収、申告及び支払いを促進します。輸入ワンストップ・ショップは、購入者に対しても手続きを容易にし、購入者の購入時にVATが課せられ、物品が配送された時に唐突な料金請求が送られてくることもありません。もし販売者が輸入ワンストップ・ショップに登録していない場合、購入者はVAT及び配送者によって請求される通関手数料を支払うことになります。

オンライン販売者電子インターフェイス
2021年7月1日から何が変わるのか?

2021年7月1日から付加価値税(VAT)の22ユーロを越えない輸入物品に対する免税措置が廃止されます。その結果、EUに輸入されるすべての物品に対してVATが課せられます。

輸入ワンストップ・ショップは、EU域内又はEU域外から販売者によって遠隔販売される物品へのVATの申告及び支払いを促進し、かつ、簡易化するために創設されました。さらに、VATの支払いは、EU域内の購入者によって行われた購入における150ユーロに満たない価額の物品に対して適用されます。

2021年7月1日から、22ユーロを越えないEU域内への物品の輸入に対する付加価値税の免税措置が廃止されます。その結果、EUに輸入されるすべての物品に対してVATが課せられます。

EU域内の購入者に対して電子インターフェイスを通じて物品の販売が促進された場合、当該電子インターフェイスは販売を行ったものとみなされ、原則としてVATを支払う責任を負います。

輸入ワンストップ・ショップは、EU域内又はEU域外から販売者によって遠隔販売される物品へのVATの申告及び支払いを促進し、かつ、簡易化するために創設されました。さらに、VATの支払いは、EU域内の購入者によって行われた購入における150ユーロに満たない価額の物品に対して適用されます。

輸入ワンストップ・ショップが取り扱う物品の提供はどこまでか?

輸入ワンストップ・ショップが取り扱う遠隔からの物品の提供は以下のとおりです。

物品が販売された時点でEU域外から発送又は輸送されるもの。

注文が複数の物品を含むものであっても、積送に係る価額が総額で150ユーロを越えない(低価格品)発送され又は輸送されたもの。

内国消費税(excise duties)が課せられないもの(典型的なものとして、酒類又はタバコ))。

電子インターフェイスがサプライヤーからの輸入物品の販売を促進し、当該物品が以下のものである場合です。

当該物品が販売された時点でEU域外から発送又は輸送されるもの。

積送に係る価額が総額で150ユーロを越えない(低価格品)発送され又は輸送されたもの。

内国消費税(excise duties)が課せられないもの(典型的なものとして、酒類又はタバコ)。

電子インターフェイスは、自らを経由して購買者及び販売者が接触し、最終的に購買者に対して物品の販売を行うことを許容した時に、輸入物品の販売を促進したとみなされます。

輸入ワンストップ・ショップはどのように機能するのか?

輸入ワンストップ・ショップに登録した販売者は、EU加盟国の購買者向けに物品の販売を行った時にVATを適用する必要があります。VAT税率は、当該物品が配送される仕向国であるEU加盟国の税率です。EUにおけるVAT税率に関する情報は、欧州委員会のウェブサイト及び加盟国の租税当局のウェブサイトの双方で確認できます。

輸入ワンストップ・ショップに登録された電子インターフェイスは、EU加盟国の実際の納税義務を負う販売者に代わって、購買者の購入によって支払い義務が生じたVATを支払います。

VAT税率は、当該物品の配送先であるEU加盟国において適用される税率です。EUにおけるVAT税率に関する情報は、欧州委員会のウェブサイト及び加盟国の租税当局のウェブサイトの双方で確認できます。

輸入ワンストップ・ショップに登録するには?

2021年4月1日から、EU加盟国の輸入ワンストップ・ショップ・ポータルで事業者登録が可能になります。事業者がEUに拠点を置かない場合、輸入ワンストップ・ショップの下でのVAT上の義務を満たすEUで設立された仲介者を任命する必要があります。輸入ワンストップ・ショップの登録はEU域内の購買者へのすべての輸入物品の遠隔販売に有効です。輸入ワンストップ・ショップの使用は2021年7月1日以降に販売される物品に対してのみ可能となります。

電子インターフェイスは、2021年4月1日からEU加盟国の輸入ワンストップ・ショップ・ポータルで登録できます。電子インターフェイスがEU内に創設されていない場合、輸入ワンストップ・ショップの下でのVAT上の義務を満たすEUで設立された仲介者を任命する必要があります。

この輸入ワンストップ・ショップの登録はEU域内の購買者への全ての輸入物品の遠隔販売に有効です。

輸入ワンストップ・ショップの使用は2021年7月1日以降に販売される物品に対してのみ可能となります。

輸入ワンストップ・ショップを使用する際に必要なこと?

EU国境で物品の申告を行う者の輸入ワンストップ・ショップVAT証明番号を含む、EUにおける通関に必要な情報の提供。

EUの購買者によって支払われるVATの金額の提示(遅くとも、注文手続完結時まで)

EU加盟国の最終仕向地へのすべての被課税物品の提供に関する購買者からのVAT徴収の確保。

被課税物品の積送に係る費用が150ユーロの限度額を越えないことの確認。

可能な限りにおいて、ユーロ建てで購買者によって支払われたインボイス価格の提示。

当該者が輸入ワンストップ・ショップ用に識別されているEU加盟国の輸入ワンストップ・ショップ・ポータルを介しての電子的な月別VAT申告書(Return)の提出。

当該者が輸入ワンストップ・ショップ用に識別されているEU加盟国の輸入ワンストップ・ショップ・ポータルを介しての電子的な月別VAT申告書(Return)で申告されたVATの月別支払い。

10年を超えるすべての輸入ワンストップ・ショップ販売及び/又は販売促進に関する記録の保持。

EUでの通関に必要な情報を確保するため、物品の実際の販売者との協力(輸入ワンストップ・ショップVAT証明番号、当該物品が輸入される地のEU加盟国税関への接触)。

EUの購買者によって支払われるVATの金額の提示(遅くとも、注文手続完結時まで)。

EU加盟国の最終仕向地へのすべての被課税物品の提供に関する購買者からのVAT徴収の確保。

複数の物品による積送であったとしても、被課税物品の積送に係る費用が150ユーロの限度額を越えないことの確認。

可能な限りにおいて、ユーロ建てで購買者によって支払われたインボイス価格の提示。

当該者が輸入ワンストップ・ショップ用に識別されているEU加盟国の輸入ワンストップ・ショップ・ポータルを介しての電子的な月別VAT申告書(Return)の提出。

当該者が輸入ワンストップ・ショップ用に識別されているEU加盟国の輸入ワンストップ・ショップ・ポータルを介しての電子的な月別VAT申告書(Return)で申告されたVATの月別支払い。

10年を超えるすべての輸入ワンストップ・ショップ販売及び/又は販売促進に関する記録の保持。

適用される例外

オンライン販売者は、次の場合には物品の販売に関してVATを負担する必要はありません。

オンライン販売者が複数の物品を同一の購買者に対して販売し、当該物品が1パッケージで150ユーロを越える額で発送される場合には、これらの物品は、EU加盟国での輸入に際して課税されます。

物品の遠隔販売がマーケットプレイスやプラットフォームのような電子インターフェイスによって促進される場合には、電子インターフェイスが支払うべきVATについての責任を負います。

電子インターフェイスは、以下の場合には輸入物品の販売に関するVATの徴収及び/又は報告を行う必要がありません。

実際の販売者が複数の物品を同一の購買者に対して販売し、当該物品が1パッケージで150ユーロを越える額で発送される場合には、これらの物品は、EU加盟国での輸入に際して課税されます。


文中、意見に及ぶところは筆者の個人的な意見であり、JASTPRO又は関係諸機関の見解ではないことを予めお断りしておきます。