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八丁堀梁山泊 第60話

汎ユーロ地中海条約原産地規則の改正(前編)

 改正汎ユーロ地中海条約原産地規則の近い将来における実施が予想されることから、前編では汎ユーロ地中海条約原産地規則について改正に至る経緯とその構造について概説し、改正規則の主要変更点の骨子を述べることとします。次回の後編では、逐条の解説を含む改正汎ユーロ地中海条約原産地規則の全体像をお伝えしたいと思います。

改正に至る背景

「スパゲティボウル現象」と特恵原産地規則の宿命

 FTA・EPA全盛の昨今、「スパゲティボウル現象」という言葉はほとんど死語になってしまったかもしれません。これは、自由貿易を標榜しFTAには批判的であったコロンビア大学のバグワティ教授が使い始めた言葉です。その後、様々な意味で使われるようになり、FTA毎に異なる特恵原産地規則が存在するという制度の複雑さ、それを利用する際の手続の煩雑さなどを表現する常套句となりました。
 しかしながら、WTOによる多国間での自由化アプローチが停滞する中で特恵原産地規則の統一・調和などは夢物語と考える実務家の間では、多種多様な特恵原産地規則が併存してしまうことはある意味「仕方がないこと」と考えられていたように思います。なぜならば、FTA・EPA交渉における原産地規則は、特に品目別規則においては交渉相手国と自国の産業・貿易の規模・競争力に対応して厳格化すべきか緩和してもよいかの判断基準が分かれるので、必然的に異なる規則に仕上がってしまうからです。ところが、FTA交渉当事国が近隣国同士で、その一方が巨大市場を擁する「巨人」である場合には状況が異なります。

EU加盟の過程としてのFTA網の構築と単一市場

 欧州は、ご存じのとおり二度にわたる大戦への反省から国家を超えた統合こそが平和と繁栄をもたらすと考え、ドイツ・フランスを中核とした三つの共同体を起源とする欧州連合(European Union: EU)へと統合の途を進みます。この共同体は周辺諸国を徐々に取り込み、経済面では関税同盟を経た単一市場として27ヵ国を擁する巨大市場を形成し、機能面では (分野によって加盟国の固有権限を残しながらも) 独自の立法・行政・司法機関を有する超国家的な統合にまで発展しました。
 こうした近隣諸国との統合過程においても、第一歩は経済的な統合、就中FTAを締結することから始まりました。分野によって様々であったとは思いますが、筆者の原産地規則分野での交渉の経験から申し上げれば、FTAの締結交渉に当たって、当事国の一方の経済規模が巨大で他方はそのバリューチェーンへの参入を主目的とするような状況にあっては、交渉者の立場も「条件を満たせるのなら入れてあげてもよい」と余裕を見せるのか (EU)、「多少の不都合があっても入れてもらえれば目的達成」として妥協ありきの姿勢で臨むのか (周辺諸国)、大きな差が生じるようです。EUに加盟すれば結局のところEU法制そのものを実施することになるので、EU加盟候補国同士のFTAであってもEUとの間で締結した標準的なFTA原産地規則とほぼ同じものが締結され、これらが欧州型特恵原産地規則を形成していきました。
 こうした下地があって、1994年1月にはEUとEFTA諸国 (スイスを除く。) との間の欧州経済領域 (EEA) が創設されています。EEAは関税同盟ではありませんが、単一市場としてのEEAを一単位として原産性判断を行う地域原産 (originating in the EEA) の考え方に基づき、完全累積 (full cumulation) 制度が採用されます1。また、EEAにスイス及びトルコを加えた汎ユーロ圏で対角累積 (diagonal cumulation) を適用しあう「汎ユーロ累積」も開始されています2。対角累積は、二国間FTAの締約国ごとに原産性判断を行う国原産 (originating in a country) の考え方に基づきながら、モノの累積を域内第三国に適用することができるので、物資調達上の優位性を与え、地域間貿易を助長します。ただし、対角累積を適用するには諸条件を満たさねばなりません (詳細は後述します。)。

欧州隣接国・地域への経済的統合の手段としてのFTA網の構築

 欧州の地域統合において、EU (ECを含む。) 加盟には厳格な要件を満たさねばならず隣接国がすべて加盟できるわけではありません。しかしながら、欧州隣接地域の安定のためには経済的な結びつきを強化しておくことが肝要です。このような発想の下に、1995年、地中海地域の平和・安定・繁栄を促進することを目的としたバルセロナ・プロセスと呼ばれる欧州と地中海諸国とのパートナーシップが創設され、EUの対地中海地域政策の制度的枠組みを提供することになります。
 ここで、汎ユーロ累積で適用されている対角累積がバルセロナ宣言署名国に拡大されることになります。そもそも二国間FTAを網の目のように張りめぐらす方法は「線」を交差させるだけで「面」の機能は果たしません。二国間FTAの考え方として、たとえ共通の第三国とFTAを締結していたとしても、当該二国間FTAとは無関係です。したがって、「線」の集合体を「面」にするには、新たに多国間FTAを締結しなければなりません。しかしながら、そのためには多大な時間と労力を要します。そのため、便宜的に編み出された手法が「対角累積」です。(図表1, 図表2参照)ただし、対角累積が適用されるのは、最終産品の輸入国 (域内輸入国)、同加工・輸出国 (域内輸出国) と材料の供給国 (宣言署名国) が同一の原産地規則を適用する場合に限られることから (図表3参照)、標準規定としてのユーロ地中海原産地議定書 (“Euro-Med origin protocol”)3が承認され(2003年7月ユーロ地中海貿易大臣会合)、個々の協定で採用されていきました。
 その一方で、汎ユーロ地中海原産地規則に関する地域条約(Regional Convention on Pan-Euro-Mediterranean Preferential Rules of Origin: PEM Convention)(以下「PEM条約」)の策定がほぼ時を同じくして決定され(2007年10月ユーロ地中海貿易大臣会合)、2012年に発効します。PEM条約は、参加国FTAのユーロ地中海原産地議定書と順次差し替えられています。この差替えには、(i) 既存のユーロ地中海原産地議定書を削除しPEM条約を適用する旨の規定を挿入する方法と、 (ii) PEM条約の内容をそのままFTAに原産地規則として書き込む方法がありますが、対角累積の適用はユーロ地中海原産地議定書又はPEM条約のどちらかが規定されていれば可能です。また、新たにFTAを締結する場合には、PEM条約の適用が所与の要件とされています。
 バルセロナ宣言署名国との措置は、EUの安定化・連合プロセスへの参加国(西バルカン諸国)、ジョージア、ウクライナにも拡大されることになります。ただし、西バルカン諸国が関与する場合には、材料供給又は産品の生産に関与するすべての国がPEM条約(又は同じ内容の原産地規則章)を適用していなければなりません。(スイス連邦税関資料「Guide to the Pan-Euro-Mediterranean cumulation of origin」4、欧州委員会資料「The pan-Euro-Mediterranean cumulation and the PEM Convention」5

対角累積を二国間FTAのグループで認め合う効果

 欧州以外の地域ではグループ共通の原産地規則の策定が高いハードルとなりますが、物品貿易に関して新たなメガ協定を締結する労苦を思えば、原産地規則の差替えという単純な手法で欧州ではEU27ヵ国にEU以外の24国・地域を加えた51ヵ国・地域から構成される巨大なFTAを構築することに匹敵し、単一の原産地規則と原産地手続きで域内すべての特恵貿易に対応できるならば、使い勝手の面からも格段に改善されることになります6

先進的原産地規則へのレベル底上げ

 さて、PEM条約加盟国は開発途上国が大半であることから、統一を目指したレベルは、手続面ではペーパーレスとはほど遠い第三者証明手続き(Form EUR 1, Form EUR-Med)又は認定輸出者による原産地宣誓(インボイス, デリバリー・ノートほかの商業書類への記載)であり、規則面では対角累積として加盟国間のモノの累積を認め合うに過ぎません(例外は地域原産の考え方を採用するEEA、EUとアルジェリア、モロッコ、チュニジア間、EFTA諸国とチュニジアとの間の完全累積)。したがって、現在EUが先進諸国との間で締結しているFTA特恵原産地規則に比較すると旧式なものであり、特に最先端である我が国とのEPA原産地規則との比較においては雲泥の差が出てきます。
 そこで、約半世紀も続けてきた伝統的な欧州型特恵原産地規則の一律アップデート戦略の一環として、GSP原産地規則を証明書発給方式で第三者証明から登録輸出者自己申告を原則とする方向に舵を切り、FTA原産地規則でも、例えば、カナダとの間で輸出者自己申告、完全累積、FTAを締結している共通の第三国材料への拡張累積を導入し(2017年9月暫定発効)、シンガポールとの間でモノの累積に加えEUとFTAを締結しているアセアン加盟国材料への拡張累積の導入し(2019年11月発効)、我が国とのEPAで初めて輸入者・輸出者・生産者による自己申告、完全累積、特定自動車部品に係る拡張累積、緩和された積送要件、関税のドローバックの完全容認を導入しました(2019年2月発効)。
 仕上げとして、PEM条約を改正し、完全累積の適用を汎ユーロ地中海地域全域に拡大し (図表4参照)、関税のドローバックを原則として容認し、積送要件を緩和し、電子化を容認する認定輸出者自己証明制度の採用を含む原産地規則全般を先進的なものに底上げしようという意図を持って改正案をまとめ、全加盟国による受諾、完全発効を目指しているわけです。EUはそのための促進・妥協策も用意しており、derogationと呼ばれる特定品目への例外措置を認めています。

PEM条約の締約国・地域における対角累積の適用

 2020年3月2日付、「汎ユーロ地中海特恵原産地規則に関する地域条約又は本条約の締約国間における対角累積を規定する原産地規則議定書の適用に関する欧州委員会告知 (2020/C 67/02)」によると、PEM条約の締約国は以下の25ヵ国・地域です。
  • EU (欧州連合)
  • EFTA諸国(スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)
  • ファロー諸島
  • バルセロナ宣言署名国(アルジェリア、エジプト、イスラエル、ヨルダン、レバノン、モロッコ、パレスチナ(これはパレスチナの国家承認を意味せず、EU加盟国の個々の立場に影響を与えるものではない。)、シリア、チュニジア、トルコ)
  • EUの安定化・連合プロセスへの参加国(アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、コソボ(これは地位に関する立場に影響を与えるものではなく、国連安全保障理事会決議第1244号及びコソボ独立宣言に関する国際司法裁判所意見に沿ったものである。))
  • モルドバ共和国
  • ジョージア
  • ウクライナ

対角累積適用に係る具体的要件

 対角累積の適用は、新たな地域協定の締結による新たなFTA譲許税率の適用を意味しません。あくまでも、現行二国間FTAの特恵税率適用のための産品の原産性判断において本来第三国材料であって非原産材料としてカウントされるべき材料を原産扱いするという便宜的な措置にすぎません。EUの原産性判断に係る「哲学」として、第三国材料を原産扱いするからには、その判断基準としての原産地規則が最終産品の輸出国と輸入国に適用されるFTA原産地規則と同じでなければ合理性、適格性を失うというものです。したがって、対角累積適格のある第三国は、同じ原産地規則を適用できる国に限られることになります。対角累積を適用することができるのは、産品の生産に関与した国 (最終産品の生産・輸出国、同生産・輸出国への材料供給国・地域 (複数でも可)、最終産品の輸入国) が別添1-1、1-2(「対角累積適用状況簡易表」)にマークされている場合に限られます。この表は、改正PEM条約案が策定・公開された直後の2019年12月現在に公開されたものですが、対角累積不適格国・地域(PEM条約又はユーロ地中海原産地議定書を適用するFTAを未締結である国・地域)が多数存在します。これらの中には、政治的に機微な関係にあり、FTAの締結が困難ではないかと想像される国・地域もあります。また、PEM条約締約国の隣接国・地域は、少なくとも一つのPEM条約締約国・地域と特恵原産地規則を有するFTAが発効していることを条件として加盟申請することができます。
 このように、対角累積は、域内輸出入国及び材料提供国のFTA及びPEM条約締結の事実関係によって適用できる範囲が異なる状況を指して「可変翼」ルールとも呼称されます。ただし、アンドラとサンマリノについては、第25類から第97類までの鉱工業品のみに適用されます。注意すべきはEEAにおける完全累積と対角累積の適用で、完全累積を適用する際はEEA原産(地域原産)であり、かつ、EU及びEFTA諸国等はそれぞれの国原産として対角累積を適用することができます。
(出典:EU官報7)

改正PEM条約に係る現状の整理

 本稿を執筆している7月下旬から8月上旬において本件に関連した欧州委員会のウェブサイトから現状把握してみたいと思います。以下に筆者による要約を掲載します。(出典:欧州委員会「The pan-Euro-Mediterranean cumulation and PEM Convention」8EU官報9
  • 2019年11月27日に開催された第9回PEM条約合同委員会でPEM条約改正案の採択をうながしたものの、数ヵ国の留保により採択に至りませんでした。
  • 2020年2月5日に開催された技術会合において改正規則の暫定適用への関心が表明され、二国間原産地議定書(bilateral origin protocol)に規定される改正規則の導入が開始されました (暫定発効ではありません。)。その時点での関心国・機関は、ボスニアヘルテェゴビナ、EU、ジョージア、アイスランド、イスラエル、コソボ、レバノン、モルドバ、モンテネグロ、北マケドニア、ノルウェー、スイス、セルビア、トルコ、ウクライナ、EFTA事務局及びCEFTA事務局でした。
  • 改正規則はPEM条約現行規則と併存し、現行規則はこれまでどおり適用されます。改正規則の適用は暫定的なもので、以下の二つのうちのどちらかに該当します。
  • 改正規則を二国間原産地議定書で採用している国の事業者は改正規則に基づく特恵税率の適用申請を行うことができる。又は、
  • 現行PEM条約を適用する。
  • 改正規則の受諾は、各国の政治レベルによる承認にかかっており、北マケドニアとトルコについてはいくつかの重要問題の解決次第となっています。次のステップは、欧州委員会が欧州理事会に対してEUと関心国との間の二国間協定に含まれる原産地議定書を改正するための提案を提出し、理事会によって採択されることで、2020年夏までに終了する見込みとなりました。二国間協定の関係機関は、各国の国内手続終了後、直ちに改正原産地議定書の採択を行うこととなります。
  • 2020年12月7日、欧州連合理事会によってEUと汎ユーロ地中海地域諸国との間の貿易を拡大するため、EU及び域内の20の貿易パートナーが原産地規則を近代化することでFTAをアップデートする21に及ぶ決定が採択された旨を報じています。これらの諸決定の受諾及び発効に係るターゲット日時は2021年9月1日と設定され、同年中に欧州委員会として参加諸国による新規則の受諾を促進し、地域経済復興に貢献することを目指すとしています。(出典:2020年12月16日付、欧州委員会租税・関税同盟総局「EU to enhance preferential trade with Pan-Euro-Mediterranean countries」10)
改正PEM条約における主要改善項目

 改正PEM条約の主要改善項目は、以下のとおりです。
  • 汎ユーロ地中海地域における原産性の累積の一層の弾力化(大半の品目への完全累積の適用)
  • 大半の品目に対して関税のドローバックの容認
  • 品目別規則の簡易化、例えば、重畳的な要件の撤廃、付加価値基準における低閾値の採用、繊維製品における新たな二工程基準(仕上作業の追加による原産性付与の容易化)の採用、化学品分野での選択肢増加(化学反応による原産性付与)
  • 許容限度値(非原産材料の閾値)の増大(10%から15%へ)
  • 「直送要件」ルールから「不作為(non-manipulation)」ルールへの差替え
  • 一層弾力化した会計の分離ルール
  • 可能性(将来的に受諾国の合意を前提)としての第三者証明から登録輸出者による原産地申告への変更及び電子原産地証明の発給
 現行PEM条約と改正PEM条約の構成は、別添2のとおりです。


1     詳細な論述は控えますが、筆者の整理では、完全累積は地域原産の考え方においては制度的に内在しているものと考えていますす。(今川・松本『メガEPA原産地規則 – 自己申告制度に備えて』日本関税協会、2019年、58頁)しかしながら、EEAにおける完全累積は、欧州型の例にもれず、「十分な変更とはみなされない加工・作業」の規定を満たさねばならず、TPPにおける地域原産よりも厳格な規定振りとなっています。
2      FTAに別添される形で、改正第3議定書又は改正第4議定書として登場します。議定書の正式な名称は、「『原産品』の概念の定義及び運用上の協力の方法に関する第〇議定書(PROTOCOL No 〇 concerning the definition of the concept of 'originating products` and methods of administrative cooperation)」で、この議定書とFTAを紐付けするEC決定は、例えばECとチェコとの協定を例にとると、「EC, その加盟国とチェコ共和国との間の連合を創設する欧州協定の第4議定書(1996年11月29日)を改正する(EC, その加盟国とチェコ共和国との)連合理事会決定第3/96号(Decision No 3/96 of the Association Council, Association between the European Communities and their Member States, of the one part, and the Czech Republic, of the other part of 29 November 1996 amending Protocol 4 to the Europe Agreement establishing an association between the European Communities and their Member States, of the one part, and the Czech Republic, of the other part」となります。URL〔https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A21996D1231%2801%29&qid= 1629164742024〕(最終検索日: 2021年8月17日)
3    正式名称は、例えばECとエジプトとの協定に例をとると、「EC, その加盟国とエジプト・アラブ共和国との間の連合を創設するユーロ・地中海協定の締結に関する2004年4月21日付理事会決定(Council Decision of 21 April 2004 concerning the conclusion of a Euro-Mediterranean Agreement establishing an Association between the European Communities and their Member States, of the one part, and the Arab Republic of Egypt, of the other part)」となります。この第4議定書の第4条に対角累積の規定が盛り込まれています。
URL〔https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32004D0635&qid=1629164742024 #d1e671-103-1〕(最終検索日:2021年8月17日) 本稿ではPEM ConventionをPEM条約と訳していますが、個々の協定では「PEM協定(PEM Agreement)」の文言が使用されています。
4   URL 〔https://www.bing.com/searchq=swiss+federal+customs+guide+to+pan-euro-mediteranean〕(最終検索日:2021年8月4日)
6      ハードルを下げた方式で第三国累積を認める方法として、カナダが推進するcross cumulation (交差累積) があります。この方法は、FTAの締約国 (A国とB国) が共通のFTA締約国であるC国に対して同一の原産地規則を適用することを求めないことに特徴があります。この方法であれば、既存のFTAに第三国累積の規定を追加すれば簡単にFTA締約国を追加できることになりますが、関税譲許ほかはそのままなので品目限定であれば実現可能性は高まります。日英EPAのように、EUからの材料調達に対してほぼ全品目に第三国累積 (拡張累積) を認める方法もありますが、これは英国がEUから離脱したという特殊事情があり、お互いの利害関係が一致していたために実現したといえます。その証左として、EUは、日EU・EPA及びEU英FTAにおいて、単一市場から離脱した英国を利するような第三国累積 (拡張累積) を認めようとはしません。
7      URL〔https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52020XC0930(01)&from=EN  〕)(最終検索日:2021年8月2日)
8     URL〔https://ec.europa.eu/taxation_ customs/customs-4/international-affairs/pan-euro-mediterranean-cumulation-and-pem-convention_en〕  (最終検索日: 2021年8月2日)
9     URL〔https://www.wb6cif.eu/2020/08/25/new-rules-of-origin-for-pan-euro-mediterranean-pem-countries/〕(最終検索日: 2021年8月2日)
10    URL〔URL: https://ec.europa.eu/taxation_customs/news/eu-enhance-preferential-trade-pan-euro-mediterranean-countries-2020-12-16_en〕(最終検索日: 2021年8月2日)

参考資料

「検証 WTO非特恵原産地規則調和作業」2017年4月19日付(参考1:特恵原産地規則における累積制度の考察)〔https://www.jastpro.org/files/libs/564/202103121414128460.pdf
「八丁堀梁山泊」2021年3月16日付、第52話 「英国が展開する貿易継続措置における原産地の拡張累積」〔https://www.jastpro.org/pages/169/